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2014.07/14(Mon)

【創作】知らないみち



ゆひろです。

【ワンライ】という企画があると知り、挑戦してみました。
提示されたお題で、1時間で一本書きあげる、というもの。

まぁ、挑戦してみましたが……・無理でした。
時間オーバーしました。
難しいですね。

結局、書きあげるのに2時間かかりました。
それでも、まだまだ推敲し足りないのですが。

でも、おもしろいです。
書く訓練になります。
これからも、適度に参加していきたいです。


今回、参加(というか、お題を借りただけになってしまいましたが)したのは、こちらです。




お借りしたお題は「知らないみち」

ククリアです。
毎度ながら、ヴァーノンの話。
リリスやアルチャと移住してきた、その時の話です。


宜しければ、続きからどうぞ。



===================


「……知らない道だ」
 関所の向こうに伸びる長い道を前に、僕は思わず呟いた。
「何言ってるのよ。当たり前でしょ」
「知ってたら怖いわ」
 ばっかじゃないの、とリリスとアルチャさんは笑った。彼女たちにとっても知らない道のはずなのだけど。


     ―― 知らないみち ――


 141年3日。
 僕、ヴァーノン・クッシュは、リリスやアルチャさんや、その他10人ほどの人たちと一緒に、ここ、ククリア領ティラドス王家国に辿り着いた。
 関所での入国審査を終え、僕たちに手渡されたのは、国内を一通り網羅した地図と、自宅の住所を記したメモ一枚。生活に最低限必要な家財道具一式は、既に新居に運び終えているというので、後はこの身一つ持っていけばいいだけ、なんとも至れり尽くせりなのだ、が。
 自宅に帰る。それが、まず最初の難関だった。
「家、どこだって?」
 受け取った地図を地面に広げ、頭とメモを突き合わせて、まずは互いの自宅の場所を探す。
「わたしは、フライダ区だって。――このまま道なりに、北に向かって行けばよさそうよ」
「私はダロス区――川沿いみたいだけど……。川って何処よ」
「これかな?」
「ヴァーノンさんは?」
「カルナ区だって。北東の方だね。……この中では、いちばん遠そう」
「あら、みんなバラバラなのね」
 リリスが少し残念そうに言った。僕も残念だ。もう少し近所だったらよかったのに。
「じゃ、行きましょうか」
 神妙にする暇もなく、リリスは勢いよく立ちあがった。
「そうね。いつまでも此処にいても仕方ないわ」
 地図とにらめっこしながらも、アルチャさんも、荷物をまとめ出す。見回すと、他の人たちも、ちらほらと新居に向かって動き出していた。
「ち、ちょっと待って。僕まだ、家までの道、よく判ってないよ」
「大丈夫よ、適当に歩いていれば、そのうち着くわ」
「私もまだよく判ってないし」
「大丈夫かなぁ。日が暮れる前には、辿り着いておきたいんだけど……野宿はまだ寒そうだ」
「そうなる前に、誰かに聞いたらいいじゃない」
 あ……そっか。
 しっかりしてよ、とリリスは苦笑するけど、行き当たりばったりを地で行く君に、正直言われたくない。
「なんだったら、私が一緒に着いてってあげるわよ」
「とか言って。アルは自分が不安だから、着いてきてもらいたいんでしょう?」
「……そ、そんなことないって」
 アルチャさんも、どちらかと言えば楽天的な方だけど、道を覚えるのが苦手な自覚はあるらしい。そこが可愛い。
「ダロス区ってことは、途中までは一緒みたいだね……じゃあ、一緒に行こうか、アルチャさん」
「なによ。私が、着いていって、あげるのよ」
「はいはい」
 じゃ、こうしましょう、とリリスが手を叩いた。
「どうしても判らなかったら、市場で落ち合いましょう。わたしも自分の家を確認したら、市場に行ってみるつもりだから、その後、一緒に探してあげるわ。アルとヴァーノンさんのお家も、どんな所か見ておきたいもの」
「市場」
 と、その単語に、アルチャさんが反応した。
「そうね、市場の場所は覚えておかなくちゃ。どんな食材があるのかも、見てみないとだわね」
「えぇえぇ、そこ大事よね」
 相変わらず、食い意地はってるな、君たちは。
 ともかく、方針も決まったところで、僕も荷物をまとめて立ちあがった。と言っても、大したものがあるわけじゃない。ここまでの行程に必要だった携帯食と水、数枚の手拭いと、故郷から持ってきた若干の本と小物。それが、今の僕の全財産だ。
 全てを詰め込んだ、丈夫な布製の鞄を、肩に掛ける。大したものが入っているわけでもないのに、ずしりとした重みが肩にかかった。
「……知らない道だ」
 関所の向こうに伸びる長い道を前に、僕は思わず呟いた。
「何言ってるのよ。当たり前でしょ」
「知ってたら怖いわ」
 ばっかじゃないの、とリリスとアルチャさんは笑った。彼女たちにとっても知らない道のはずなのだけど。
 未知の道を前に、笑い飛ばせる彼女たちの強さを、僕は羨ましく思う。
 同時に、頼もしく思う。
「じゃ、行きましょうか」
「そうね」
「うん」
 春と呼ぶにはまだ少し肌寒いけれど、雲ひとつない晴天から冬のものとはいえない、暖かい日差しが降り注ぐ中。
 僕たちは、それぞれの道を、歩き出した。






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